Macな日々 その2

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その頃はまだパソコンの黎明期だったのでしょうが、パソコン特にCPUの進歩は目覚ましく半年ごとにモデルチェンジし、「パソコンの寿命は2年」「5年経ったら化石」などと勝手なことを言われていましたが、そのような高価な商品を個人で短期間で買い換えることなどできるはずありませんし、企業にしてもリース期限を考えるとそう短期間でモデルチェンジはあり得ません。

その寿命を伸ばすため四苦八苦しましたが、その解消の一つにメモリの増設がありました。

当時のパソコンの基本メモリは1M(メガ)でしたが、システム使用分を差し引くとユーザーが使えるのは645kb(キロバイト)だけのため制約も多く味気ない画面でした。もちろんモノクロでカラーはもちろん動画などは縁のない世界でした。今のパソコンは標準で4G(ギガ)や8G装着されていますが、当時のメモリは1M=1万円の時代で2Mもしくは4M増設するのがやっとでした。そのメモリを増設してその頃出始めたWindowsの試作版Ver2.Xを動かして一人悦に入っていましたが、今と比べれば画面の切り替えに数十秒かかっていましたので動かしているとは言えない状況でした。

ちなみに当時の汎用ソフトとしてユーザーが多かったのがワープロの「一太郎」、図形ソフトの「花子」(いずれもジャストシステム社)、表計算では「ロータス1・2・3」(ロータス社)がダントツの人気でした。今全盛のワード・エクセルはDOSの時代はなくエクセルの前身とも言える「マルチプラン」(マイクロソフト社)が一部で使われていた程度でした。

アプリケーションソフトについてはMS-DOSの時代は各ソフト会社が競い合っていましたが、Windows普及後はOSを背景にした強みを生かしMicrosoftに集約されてしまいました。

パソコン購入から3〜4年経過しMS-DOSに物足りなさや使い勝手の悪さに嫌気が差し始めていました。

その頃から言われ始めたのがGUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)で、説明するまでのことでも無いのですが、要は使う人の立場に立った操作性があるかどうか=一般消費者を取り込めるか否かだと思うのですが、MS-DOSの世界は一般人には敷居が高く、出始めていたWindowsもまだ開発段階で実用性には遠く、パソコン本体のパワーも不足していました。

パソコン購入後頻繁にパソコン雑誌を購読していましたが、その中にアップル社のマッキントッシュ(以下Mac)の記事を読むと、MS-DOSの世界と根本的に違う世界に見え始めてきました。

そもそもビジネスライクなビルゲイツ創始のマイクロソフト社と、芸術家肌のスティーブジョブズがガレージから始めたアップル社とではそのコンセプトが全く違っていたようでした。

それらの記事を読むに連れMacの世界を覗いて見たい気持ちが起こり始めていました。

更に業務上の取引先の中にカメラマンでMacMS-DOSに通じた人がいましたが、その人とはたまたま住所が近かったため、夜フラリと我が家へ来てパソコン講釈を聞かせてくれたりもしました。

カメラマンという仕事の関係でMacPhotoshopを使いメモリを増設して画像を加工することなどを聞いているとMS-DOSとは異なる文化への思慕のような物が芽生え始めていました。